サステナブルファッションとは?~個人にもできる取り組みを紹介~

サステナブルファッションとは?~個人にもできる取り組みを紹介~

近年注目を集める「サステナブルファッション」。

SDGsを皮切りに地球全体で持続可能な社会づくりの機運が高まるなかで、サステナブルファッションの促進に取り組む企業やブランドもますます多くなってきています。

「サステナブルファッションの意味は?」「どんな問題が起こっているの?」

そんな関心をもつ生活者の皆さまに向けて、本記事ではサステナブルファッションの意味や、注目を集める背景、日本企業における取り組みの事例などを紹介していきます!

■サステナブルファッションってなに?

「サステナブル」とは、英語で「持続可能な」という意味で、近年よく耳にする「SDGs(Sustainable Development Goals)」=「持続可能な開発目標」でも使用されている言葉です。

「サステナブルファッション」とは、「地球環境や生産から廃棄までの一連のプロセスにかかわる人々の生活に配慮し、これからも継続的に発展できるファッション業界を目指す」取り組みを指します。

伝統的なファッション業界は、大量生産と大量消費が前提のビジネスモデルが主流で、環境への負荷や生産国での過酷な労働環境など、さまざまな社会問題が指摘されてきました。

そこで、持続可能な社会の実現のために、ファッション業界にかかわる企業・生活者の行動を変革することが求められているのです。

■ファッション業界が抱える問題

従来のファッション業界は、環境負荷をはじめ、社会的にさまざまな問題を抱えてきました。

ここではファッション業界の生産から廃棄までのプロセスについて解説するとともに、それぞれの段階でどのような課題がみられるかを紹介します。

ファッション業界における生産から廃棄までのプロセスは、大きく5段階に分けられます。

  • 材料の生産
  • 企画・製造
  • 販売
  • 利用
  • 廃棄

– 材料の生産

材料の生産における課題は、特に綿花農家の健康被害などの人権問題に表れています。綿花の産地は多くが発展途上国であり、防護服のない貧しい環境で、危険な農薬の使用を余儀なくされているケースもあります。

国連大学ウェブマガジンによれば、綿花の農薬を原因とした死者数だけでも毎年2万人、入院者数は100万人にのぼるとの推計があります。また、被害者の多くは子どもです。

加えて、綿花の生産には非常に大量の水を消費します。綿花栽培により、環境にも人にも大きな負担がかかるのです。

– 企画・製造

服の製造は、企画から始まります。企画では新商品のデザインや素材を決めたり、生産計画を立てたりします。

この段階では大量のサンプルが作られるため、素材の大量消費による環境への負荷が問題視されています。例えば、化学繊維であれば石油を消費したり、綿であれば栽培や加工に大量の水を消費します。また、農薬による土壌汚染や水質汚染の可能性もあります。

次に、製造の段階でも、生産過程で余った生地の大量廃棄が指摘されています。環境省によれば、日本での一年あたりの端材等排出量は約45,000トンにもなり、服にして約1.8億着分にもなるとのこと。

サンプルや余った生地が廃棄される際には、地球温暖化の原因となる二酸化炭素も多く排出されてしまいます。

さらには、製造者の労働環境にも注意を向ける必要があります。発展途上国のカンボジアやバングラデシュでは、低賃金や長時間労働、児童労働や不十分な安全設備の中で労働を強いられる縫製工場も少なくありません。

– 販売

ファッション業界では通常、卸売業者や二次卸を介して、小売業者から生活者へと商品が販売されていきます。ここで課題となるのは、過剰在庫の廃棄や商品の輸送による資源のロス、二酸化炭素の排出です。

ファッション業界の特徴として、毎年流行が変わるため、シーズンごとに商品を売りきらなければならないという点があります。しかし、需要の予測は非常に難しく「多めに仕入れ、売れ残ったら廃棄する」企業も多くあり、持続的な発展が困難な社会構造になっているのです。

– 利用

服が生活者の手に渡れば、一般家庭における洗濯時の洗剤や柔軟剤、化学繊維の流出による水質汚染、電力消費によるCO2排出が環境への負荷を生み出します。

そして、近年みられる「安価な服を短いサイクルで着捨てる」消費者の行動は、これらの問題を加速させてしまいます。

– 廃棄

生産された服は、リサイクルをしない限り、いずれ廃棄されます。

生活者が服を廃棄することで、環境への負荷が発生します。石油由来のプラスチックでできた衣類を燃やすと、ダイオキシンなどの有害ガスが発生します。また、埋め立て処分をしたとしても土壌を汚染してしまいます。

再生利用や適量生産を行わない限り、過剰な廃棄は地球環境に負荷を与え続けてしまうのです。

■企業の取り組み

サステナブルファッションの推進に対し、日本企業が行った取り組みの事例を3つご紹介します。

  • 株式会社アシックス
  • 東レ株式会社
  • 株式会社良品計画

– 株式会社アシックス

株式会社アシックスでは、環境負荷の見える化によってサステナブルファッションへの意識を高める取り組みを行っています。

Higg Indexとよばれる国際標準のサステナビリティ評価指標によって、サプライチェーン全体での環境負荷と労働環境を測定・公開。サステナブルファッションについて、業界全体でリテラシーを高められるよう、取引先をも巻き込んだ啓発の取り組みを行っているのです。

– 東レ株式会社

合成繊維で国内最大手となる東レ株式会社では、ペットボトルを繊維にリサイクルし、再生利用した繊維の活用を拡大する取り組みを行っています。

東レ独自の進展として、従来のペットボトルリサイクルでは異物混入により製造可能な糸の種類が限られていましたが、同社独自の技術により多様な種類の糸を実現しました。さらには、独自のトレーサビリティ付与技術によりリサイクル原料ならではの信頼性の問題も改善しています。

– 株式会社良品計画

株式会社良品計画では、自治体と連携した古着回収により、衣類のスムーズなリサイクルを促進する取り組みを開始しました。

2020年12月にオープンした無印良品 東京有明では、江東区との協働で古着回収ボックスやリサイクル関連イベントなどの取り組みを実施。古着を持参した人に、リサイクルの糸で作られた限定の軍手を配布しました。

この店舗では、オープン1.5ヶ月で約1.6トンもの衣類回収を達成しています。

■個人としてできることは?

生活者個人として、サステナブルファッションを実践するためにはどのような行動ができるでしょうか?

以下の4つが挙げられます。

  • 長く着られる服を選ぶ
  • リペアを活用する
  • リユース・古着の利用
  • サステナビリティを重視している企業の服を買う

– 長く着られる服を選ぶ

一着一着の服の寿命を伸ばすことで、廃棄量の減少に繋がります。

そのためには、品質重視で服を選び、丁寧に洗濯することが大切です。服の洗濯ネームをチェックし、素材にあったお手入れや洗濯を行えば、衣服は長持ちするようになります。

また、着ない服を衝動買いするのは控え、必要な服を買うよう心がけるだけでも、過剰消費の抑制につながります。

– リペアを活用する

服の修繕やリペアの活用で、傷んだ服でも魅力を復活させ、愛着をもちながら長く服を楽しめます。

修繕を行ってくれる店で服やアイテムを買うことも、サステナブルファッションへの取り組みの第一歩といえるでしょう。

– リユース・古着の利用

バザーやフリマアプリの活性化により、リユース市場の拡大が進んできています。

使わない服を売ったり、古着を買ったりすることで、環境に配慮しながらも、魅力的に感じる服を飽きずに経済的に楽しめます。

– サステナビリティを重視する企業の服を買う

サステナブルファッションへの積極的な取り組みを行っている企業から服を買うことも、個人が気軽に取り組める行動の一つです。

まずは自分が手に取る服が「どのような過程で作られているのか?」「サステナビリティへの配慮がされているか?」といった点に意識を向けるだけでも服の見方が変わるかもしれません。

■サステナブルファッションについてのまとめ

サステナブルファッションについて、その背景や具体的な取り組みについて解説してきました。

生活者個人ができる取り組みとしても、幅広いアプローチがありましたね。

  • 長く着られる服を選ぶ
  • リペアを活用する
  • リユース・古着の利用
  • サステナビリティを重視する企業の服を買う

正しい知識と関心を持ち、よりよいファッションライフを実現していきましょう!

参考資料

全体を通しての参考URL:https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/

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