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サステナブルファッションとは?~国内外の代表的なサステナブルファッションブランド10選も紹介~
SDGsなどの言葉を日常的に耳にする機会が多くなった昨今、より持続可能な社会や商品が求められています。環境負荷を軽減し、大切な資源を削減するための取り組みは、今や企業にとって必須だといえるでしょう。これはアパレル業界も同様で、近年ではサステナブルファッションが注目されています。 今回はサステナブルファッションの分類や、サステナブルな衣類を選ぶ意義や社会的責任を解説するとともに、国内外で活躍しているサステナブルファッションブランドを紹介します。 ■サステナブルファッションの分類を解説 サステナブルファッションとは、衣服の生産から着用、廃棄に至るプロセスにおいて将来にわたり持続可能であることを目指し、生態系を含む地球環境や関わる人・社会に配慮した取り組みのことをいいます。(引用:環境省ホームページ「サステナブルファッション」) 。 以下では、リサイクルやアップサイクルなど、サステナブルファッションを実現させるための具体的な手段を解説します。 -リサイクル リサイクルとは、使用済みの製品や物を原材料に戻して再利用することです。たとえば、資源回収された衣類などは古繊維業者の手で再資源化されます。 また店舗にリサイクルボックスを設置しているアパレルブランドでは、衣類を使えるパーツに分類してテキスタイル資源として利用しているところも。 環境省が発表している「サステナブルファッション」によれば、資源回収や店舗、地域回収などで回収された衣類のリサイクル率は14%とされています。リサイクル率は年々高まっているものの、まだまだ改善の余地があるといえるでしょう。 -アップサイクル アップサイクルは、元の素材をそのまま活かして別の製品を作り上げる取り組みです。たとえば、国内大手繊維メーカーの倉敷紡績株式会社はエドウィンと連携し、デニムの裁断くずから繊維製品やプラスチック製品などへのアップサイクルを実施しています。 アップサイクルはリサイクルと違い、衣類を原料に戻す過程で生じるエネルギー消費がありません。そのため、リサイクルよりも持続可能性が高い手段として注目されています。 ちなみにアップサイクルと混同されがちな手段としては、ダウンサイクルがあります。ダウンサイクルは利用しなくなったTシャツを雑巾として使うなど、元々の商品よりも価値が低くなる点がアップサイクルとは異なります。 参考:環境省「サステナブルファッション デニム裁断屑を再利用したアップサイクルへの取組事例」 -リユース リユースは、衣類をそのまま再利用する手法です。たとえば、株式会社ファーストリテイリングの「ユニクロダウンリサイクル」や、日本環境設計株式会社が運営する「BRING」などでは、着られなくなった衣類の回収・リユースを行っています。 環境省が発表している「サステナブルファッション」によると、手放された衣類のうちリユースの割合は20%。リサイクルよりは多いものの、こちらもまだまだ改善の余地があるといえるでしょう。 -フェアトレード フェアトレードは、公平・公正な貿易という意味です。開発途上国の原料や生産される製品を適正価格かつ継続的に購入することで、生産者・労働者の生活環境を改善させることを目的としています。 サステナブルファッションにおいては、商品タグや表示ランベルなどを用いてトレーサビリティの確保をすることで、サステナブルな素材を使用しているかどうかを消費者に伝えられます。 フェアトレードとサステナビリティは密接に繋がっており、後述するSDGsにも大きな関わりがあります。 参考:フェアトレードジャパン「フェアトレードとサステナビリティ」 ■サステナブルファッションを選ぶ意義とは? サステナブルファッションを提供している衣類やブランドを選ぶ意義としては、環境負荷を減少させたり、一人ひとりが果たすべき社会的責任を負ったりすることが挙げられます。 以下で、サステナブルファッションを選択する意義や、求められている社会的責任などを具体的に解決します。 -SDGsの目標達成のため SDGs(Sustainable Development...
サステナブルファッションとは?~国内外の代表的なサステナブルファッションブランド10選も紹介~
SDGsなどの言葉を日常的に耳にする機会が多くなった昨今、より持続可能な社会や商品が求められています。環境負荷を軽減し、大切な資源を削減するための取り組みは、今や企業にとって必須だといえるでしょう。これはアパレル業界も同様で、近年ではサステナブルファッションが注目されています。 今回はサステナブルファッションの分類や、サステナブルな衣類を選ぶ意義や社会的責任を解説するとともに、国内外で活躍しているサステナブルファッションブランドを紹介します。 ■サステナブルファッションの分類を解説 サステナブルファッションとは、衣服の生産から着用、廃棄に至るプロセスにおいて将来にわたり持続可能であることを目指し、生態系を含む地球環境や関わる人・社会に配慮した取り組みのことをいいます。(引用:環境省ホームページ「サステナブルファッション」) 。 以下では、リサイクルやアップサイクルなど、サステナブルファッションを実現させるための具体的な手段を解説します。 -リサイクル リサイクルとは、使用済みの製品や物を原材料に戻して再利用することです。たとえば、資源回収された衣類などは古繊維業者の手で再資源化されます。 また店舗にリサイクルボックスを設置しているアパレルブランドでは、衣類を使えるパーツに分類してテキスタイル資源として利用しているところも。 環境省が発表している「サステナブルファッション」によれば、資源回収や店舗、地域回収などで回収された衣類のリサイクル率は14%とされています。リサイクル率は年々高まっているものの、まだまだ改善の余地があるといえるでしょう。 -アップサイクル アップサイクルは、元の素材をそのまま活かして別の製品を作り上げる取り組みです。たとえば、国内大手繊維メーカーの倉敷紡績株式会社はエドウィンと連携し、デニムの裁断くずから繊維製品やプラスチック製品などへのアップサイクルを実施しています。 アップサイクルはリサイクルと違い、衣類を原料に戻す過程で生じるエネルギー消費がありません。そのため、リサイクルよりも持続可能性が高い手段として注目されています。 ちなみにアップサイクルと混同されがちな手段としては、ダウンサイクルがあります。ダウンサイクルは利用しなくなったTシャツを雑巾として使うなど、元々の商品よりも価値が低くなる点がアップサイクルとは異なります。 参考:環境省「サステナブルファッション デニム裁断屑を再利用したアップサイクルへの取組事例」 -リユース リユースは、衣類をそのまま再利用する手法です。たとえば、株式会社ファーストリテイリングの「ユニクロダウンリサイクル」や、日本環境設計株式会社が運営する「BRING」などでは、着られなくなった衣類の回収・リユースを行っています。 環境省が発表している「サステナブルファッション」によると、手放された衣類のうちリユースの割合は20%。リサイクルよりは多いものの、こちらもまだまだ改善の余地があるといえるでしょう。 -フェアトレード フェアトレードは、公平・公正な貿易という意味です。開発途上国の原料や生産される製品を適正価格かつ継続的に購入することで、生産者・労働者の生活環境を改善させることを目的としています。 サステナブルファッションにおいては、商品タグや表示ランベルなどを用いてトレーサビリティの確保をすることで、サステナブルな素材を使用しているかどうかを消費者に伝えられます。 フェアトレードとサステナビリティは密接に繋がっており、後述するSDGsにも大きな関わりがあります。 参考:フェアトレードジャパン「フェアトレードとサステナビリティ」 ■サステナブルファッションを選ぶ意義とは? サステナブルファッションを提供している衣類やブランドを選ぶ意義としては、環境負荷を減少させたり、一人ひとりが果たすべき社会的責任を負ったりすることが挙げられます。 以下で、サステナブルファッションを選択する意義や、求められている社会的責任などを具体的に解決します。 -SDGsの目標達成のため SDGs(Sustainable Development...

サーキュラーエコノミーとは? ~企業事例に学ぶ新しいビジネスモデル~
近年、新しい経済発展のモデルとして注目される「サーキュラーエコノミー」。 資源やエネルギーの過剰消費、気候変動などをはじめ、人間の消費活動が環境に及ぼす影響はさまざまな社会問題を生み出し、解決のためには世界で一体となって協力することが求められています。 サーキュラーエコノミーは、大量消費社会が抱えるさまざまな問題を改善しつつ、経済的にも価値を創出する画期的なコンセプトとされ、日本でも行政を主体に推進が進んでいます。 この記事では、そんなサーキュラーエコノミーの意味や背景、国内外の取り組みの事例について解説します。 ■サーキュラーエコノミーの定義とは? サーキュラーエコノミーとは、「資源の循環を前提とする経済」のこと。 環境省の定義によれば、従来は廃棄物になっていたものを材料として再利用し、資源を循環させることで資源消費や廃棄物の発生を抑えることを目指す経済システムのことです。「循環経済」「循環型経済」ともよばれます。 従来のリニアエコノミーは、大量消費・大量廃棄を前提に構築されており、環境汚染や生態系の破壊など、さまざまな社会問題を抱えていました。それに対し、サーキュラーエコノミーは、限りある環境資源を有効活用し、地球全体の持続可能な発展を支えるための新しい考え方なのです。 ■サーキュラーエコノミーでビジネスはどうかわるのか? 近年、サーキュラーエコノミーへの転換は世界中で推進されており、企業からの関心も集まっています。そんなサーキュラーエコノミーによって、ビジネスにはどんな影響があるのでしょうか? -関連市場の拡大 アクセンチュア株式会社の調査によれば、2030年には世界におけるサーキュラーエコノミーの経済効果は約540兆円にのぼると見られ、大きな価値が生み出されることが予想されています。 日本国内でも、サーキュラーエコノミー関連の市場は2030年には80兆円にものぼると予想されています。 内訳としては原材料やエネルギーの回収、遊休資産のレンタルに代表されるシェアリングエコノミーなどがあり、これらの新市場に事業を展開したり、投資したりする企業がますます多くなっているのです。 -消費者の心理的変化 モノやサービスが変化すれば、消費者の価値観にも変化が起こります。 従来の価値観では、新品の製品を手に入れたり、自分専用のものを所有することに価値があるとされていました。しかし、サーキュラーエコノミーをはじめとするグローバルな環境への配慮が推進されるようになり、経済的にも価値のあるサービスや製品が台頭するようになって、モノの購入や所有よりも「体験」に価値を見出す消費者の傾向が高まってきています。 たとえば、遊休資産である自動車を利用したカーシェアが良い例です。自分専用の車を所有するよりも車に乗る体験の価値を重視し、必要に応じてカーシェアを利用するほうが経済的かつ便利だと考える消費者はこの先も増えていくでしょう。 ■海外の先進事例 海外では、サーキュラーエコノミーに向けた先進的な企業の取り組みが既に多く見られます。ここでは、環境先進国であるオランダの企業の取り組みを3つご紹介します。 -豊富な環境アイデアがつまった複合施設「CIRCL」 オランダの大手銀行であるABN AMRO(エービーエヌ・アムロ)が建てた複合施設「CIRCL(サークル)」は、サーキュラーエコノミーのコンセプトを体現する施設です。 レストランやバー、オフィスなどが立ち並ぶのは、さまざまなリサイクル素材を使い、解体時の環境負荷を小さくするためにデザインされた建物。太陽光発電機や雨水タンク、自転車をリサイクルして作られたベンチなど、施設内には取り組みのヒントになるアイデアがたくさん詰まっています。 -スマホの再生に取り組むスタートアップ「Closing the Loop」 スマホの再生利用に取り組むスタートアップ企業「Closing the Loop(クロージング・ザ・ループ)」は、アフリカで廃棄行きとなった携帯電話を回収し、ヨーロッパの製錬所に販売する事業を展開しています。...
サーキュラーエコノミーとは? ~企業事例に学ぶ新しいビジネスモデル~
近年、新しい経済発展のモデルとして注目される「サーキュラーエコノミー」。 資源やエネルギーの過剰消費、気候変動などをはじめ、人間の消費活動が環境に及ぼす影響はさまざまな社会問題を生み出し、解決のためには世界で一体となって協力することが求められています。 サーキュラーエコノミーは、大量消費社会が抱えるさまざまな問題を改善しつつ、経済的にも価値を創出する画期的なコンセプトとされ、日本でも行政を主体に推進が進んでいます。 この記事では、そんなサーキュラーエコノミーの意味や背景、国内外の取り組みの事例について解説します。 ■サーキュラーエコノミーの定義とは? サーキュラーエコノミーとは、「資源の循環を前提とする経済」のこと。 環境省の定義によれば、従来は廃棄物になっていたものを材料として再利用し、資源を循環させることで資源消費や廃棄物の発生を抑えることを目指す経済システムのことです。「循環経済」「循環型経済」ともよばれます。 従来のリニアエコノミーは、大量消費・大量廃棄を前提に構築されており、環境汚染や生態系の破壊など、さまざまな社会問題を抱えていました。それに対し、サーキュラーエコノミーは、限りある環境資源を有効活用し、地球全体の持続可能な発展を支えるための新しい考え方なのです。 ■サーキュラーエコノミーでビジネスはどうかわるのか? 近年、サーキュラーエコノミーへの転換は世界中で推進されており、企業からの関心も集まっています。そんなサーキュラーエコノミーによって、ビジネスにはどんな影響があるのでしょうか? -関連市場の拡大 アクセンチュア株式会社の調査によれば、2030年には世界におけるサーキュラーエコノミーの経済効果は約540兆円にのぼると見られ、大きな価値が生み出されることが予想されています。 日本国内でも、サーキュラーエコノミー関連の市場は2030年には80兆円にものぼると予想されています。 内訳としては原材料やエネルギーの回収、遊休資産のレンタルに代表されるシェアリングエコノミーなどがあり、これらの新市場に事業を展開したり、投資したりする企業がますます多くなっているのです。 -消費者の心理的変化 モノやサービスが変化すれば、消費者の価値観にも変化が起こります。 従来の価値観では、新品の製品を手に入れたり、自分専用のものを所有することに価値があるとされていました。しかし、サーキュラーエコノミーをはじめとするグローバルな環境への配慮が推進されるようになり、経済的にも価値のあるサービスや製品が台頭するようになって、モノの購入や所有よりも「体験」に価値を見出す消費者の傾向が高まってきています。 たとえば、遊休資産である自動車を利用したカーシェアが良い例です。自分専用の車を所有するよりも車に乗る体験の価値を重視し、必要に応じてカーシェアを利用するほうが経済的かつ便利だと考える消費者はこの先も増えていくでしょう。 ■海外の先進事例 海外では、サーキュラーエコノミーに向けた先進的な企業の取り組みが既に多く見られます。ここでは、環境先進国であるオランダの企業の取り組みを3つご紹介します。 -豊富な環境アイデアがつまった複合施設「CIRCL」 オランダの大手銀行であるABN AMRO(エービーエヌ・アムロ)が建てた複合施設「CIRCL(サークル)」は、サーキュラーエコノミーのコンセプトを体現する施設です。 レストランやバー、オフィスなどが立ち並ぶのは、さまざまなリサイクル素材を使い、解体時の環境負荷を小さくするためにデザインされた建物。太陽光発電機や雨水タンク、自転車をリサイクルして作られたベンチなど、施設内には取り組みのヒントになるアイデアがたくさん詰まっています。 -スマホの再生に取り組むスタートアップ「Closing the Loop」 スマホの再生利用に取り組むスタートアップ企業「Closing the Loop(クロージング・ザ・ループ)」は、アフリカで廃棄行きとなった携帯電話を回収し、ヨーロッパの製錬所に販売する事業を展開しています。...

アップサイクルとは? ~定義やリサイクルとの違い、国内外の事例を解説~
サスティナビリティやSDGsが重要視される昨今、注目を浴びているのがアップサイクル。Instagramの「#upcycle」では、アップサイクルされた洋服や家具などが600万件以上投稿されています。 しかし、「アップサイクル」という言葉や意味は何となく理解しているものの、厳密な定義やリサイクルとの違いなどに関して、明確に答えられる方は少ないのではないでしょうか。 今回は、アップサイクルの歴史や注目されている背景、リサイクルやダウンサイクルとの違い、海外や日本の取組事例などを解説していきます。 ■アップサイクルの定義とは? ※リサイクルとの違いなど アップサイクルとは、廃棄物や不用品を利用して別の製品や素材に作り変えることを指します。単なる再利用ではなく、デザインやアイデアを加えて付加価値を与えるのが大きな特徴です。 詳しくは後述しますが、リサイクルやダウンサイクルに比べて、ゴミの削減や環境保護に貢献できる可能性があり、様々な製品やサービスが登場しています。 以下の項目からは、アップサイクルをより深く理解するために、歴史やリサイクルとの違い、メリットなどを見ていきましょう。 -アップサイクルの歴史 アップサイクルが初めて活字として登場したのは、1994年の「SalvoNEWS」の記事で、ライナー・ピルツの言葉が次のように引用されています。 「必要なのはアップサイクルです。古い製品の価値を下げるのではなくて、高めることです」 アップサイクル以前にも、同じような概念としては「クリエイティブリユース(創造的再利用)」が存在していました。クリエイティブリユースは20世紀の初頭から、アートやファッションデザインなどの分野で使われています。 たとえば、映画『風と共に去りぬ』では、ベルベットのカーテンから美しいドレスを仕立てるシーンがあります。これも立派なクリエイティブリユース(アップサイクル)だといえるでしょう。 他にも陶器などの割れやヒビを修復する「金継ぎ」もアップサイクルの一つです。傷跡を金属粉で装飾して壊れてしまった器などを蘇らせることで、修復前よりも価値や魅力が上がるケースもあります。このように、アップサイクルが登場する以前から、人々はアップサイクルを行ってきました。 21世紀の現在では、大量生産・大量消費がもたらした二酸化炭素の大量排出や、海洋プラスチックごみの増加による環境破壊が問題になっています。それに呼応するように、消費を続けるだけのライフスタイルに対して「このままで良いのか」と疑問を抱く人々が年々増え続けています。 その結果、個人・企業を問わず、より持続可能性が求められるようになり、サステナビリティを実現させる選択肢の一つとして、アップサイクルが再び注目され始めたのです。 -アップサイクルとリサイクルは何が違うのか アップサイクルとリサイクルの大きな違いは「再利用する物の扱い方」です。 リサイクルは使用済みの物や製品を原材料に戻して再利用します。身近なところでは、古紙を原料に戻して再生紙にするのがリサイクルです。 一方アップサイクルは、不要になった服を分解してバッグを作ったり、寿命の切れた電球に手を加えて花瓶にしたりと、元の素材をそのまま活かすのが特徴です。 単純に再利用したり使い直したりするわけではなく「元の製品よりも価値を高めている」点は、アップサイクルを理解するうえで重要なポイントです。 またリサイクルは原料に戻す過程でエネルギーが必要ですが、アップサイクルは不要です。そのため、リサイクルよりも持続可能性が高い手法だといえます。 -アップサイクルとダウンサイクルとの違い アップサイクルの対義語としては「ダウンサイクル」があります。 元の製品に付加価値を加えて、より高い価値を持たせるアップサイクルと違い、元の製品より価値が下がってしまうのがダウンサイクルです。 たとえば使い古したTシャツを雑巾にするなど、元々の価値よりも下げることをダウンサイクルと表現します。 簡潔に述べるならば、アップサイクルは「元の製品よりも価値を上げる」ダウンサイクルは「元の製品よりも価値が下がる」再利用方法です。 -リユースとリデュース リサイクルやダウンサイクルに加えて、アップサイクルと混同されやすい言葉としては、リユースとリデュースが挙げられます。 リユースとは、一度使った製品をそのまま再利用することです。たとえば衣類をフリーマケットやオークションアプリを使って売るのはリユースになります。...
アップサイクルとは? ~定義やリサイクルとの違い、国内外の事例を解説~
サスティナビリティやSDGsが重要視される昨今、注目を浴びているのがアップサイクル。Instagramの「#upcycle」では、アップサイクルされた洋服や家具などが600万件以上投稿されています。 しかし、「アップサイクル」という言葉や意味は何となく理解しているものの、厳密な定義やリサイクルとの違いなどに関して、明確に答えられる方は少ないのではないでしょうか。 今回は、アップサイクルの歴史や注目されている背景、リサイクルやダウンサイクルとの違い、海外や日本の取組事例などを解説していきます。 ■アップサイクルの定義とは? ※リサイクルとの違いなど アップサイクルとは、廃棄物や不用品を利用して別の製品や素材に作り変えることを指します。単なる再利用ではなく、デザインやアイデアを加えて付加価値を与えるのが大きな特徴です。 詳しくは後述しますが、リサイクルやダウンサイクルに比べて、ゴミの削減や環境保護に貢献できる可能性があり、様々な製品やサービスが登場しています。 以下の項目からは、アップサイクルをより深く理解するために、歴史やリサイクルとの違い、メリットなどを見ていきましょう。 -アップサイクルの歴史 アップサイクルが初めて活字として登場したのは、1994年の「SalvoNEWS」の記事で、ライナー・ピルツの言葉が次のように引用されています。 「必要なのはアップサイクルです。古い製品の価値を下げるのではなくて、高めることです」 アップサイクル以前にも、同じような概念としては「クリエイティブリユース(創造的再利用)」が存在していました。クリエイティブリユースは20世紀の初頭から、アートやファッションデザインなどの分野で使われています。 たとえば、映画『風と共に去りぬ』では、ベルベットのカーテンから美しいドレスを仕立てるシーンがあります。これも立派なクリエイティブリユース(アップサイクル)だといえるでしょう。 他にも陶器などの割れやヒビを修復する「金継ぎ」もアップサイクルの一つです。傷跡を金属粉で装飾して壊れてしまった器などを蘇らせることで、修復前よりも価値や魅力が上がるケースもあります。このように、アップサイクルが登場する以前から、人々はアップサイクルを行ってきました。 21世紀の現在では、大量生産・大量消費がもたらした二酸化炭素の大量排出や、海洋プラスチックごみの増加による環境破壊が問題になっています。それに呼応するように、消費を続けるだけのライフスタイルに対して「このままで良いのか」と疑問を抱く人々が年々増え続けています。 その結果、個人・企業を問わず、より持続可能性が求められるようになり、サステナビリティを実現させる選択肢の一つとして、アップサイクルが再び注目され始めたのです。 -アップサイクルとリサイクルは何が違うのか アップサイクルとリサイクルの大きな違いは「再利用する物の扱い方」です。 リサイクルは使用済みの物や製品を原材料に戻して再利用します。身近なところでは、古紙を原料に戻して再生紙にするのがリサイクルです。 一方アップサイクルは、不要になった服を分解してバッグを作ったり、寿命の切れた電球に手を加えて花瓶にしたりと、元の素材をそのまま活かすのが特徴です。 単純に再利用したり使い直したりするわけではなく「元の製品よりも価値を高めている」点は、アップサイクルを理解するうえで重要なポイントです。 またリサイクルは原料に戻す過程でエネルギーが必要ですが、アップサイクルは不要です。そのため、リサイクルよりも持続可能性が高い手法だといえます。 -アップサイクルとダウンサイクルとの違い アップサイクルの対義語としては「ダウンサイクル」があります。 元の製品に付加価値を加えて、より高い価値を持たせるアップサイクルと違い、元の製品より価値が下がってしまうのがダウンサイクルです。 たとえば使い古したTシャツを雑巾にするなど、元々の価値よりも下げることをダウンサイクルと表現します。 簡潔に述べるならば、アップサイクルは「元の製品よりも価値を上げる」ダウンサイクルは「元の製品よりも価値が下がる」再利用方法です。 -リユースとリデュース リサイクルやダウンサイクルに加えて、アップサイクルと混同されやすい言葉としては、リユースとリデュースが挙げられます。 リユースとは、一度使った製品をそのまま再利用することです。たとえば衣類をフリーマケットやオークションアプリを使って売るのはリユースになります。...

サステナブルファッションとは?~個人にもできる取り組みを紹介~
近年注目を集める「サステナブルファッション」。 SDGsを皮切りに地球全体で持続可能な社会づくりの機運が高まるなかで、サステナブルファッションの促進に取り組む企業やブランドもますます多くなってきています。 「サステナブルファッションの意味は?」「どんな問題が起こっているの?」 そんな関心をもつ生活者の皆さまに向けて、本記事ではサステナブルファッションの意味や、注目を集める背景、日本企業における取り組みの事例などを紹介していきます! ■サステナブルファッションってなに? 「サステナブル」とは、英語で「持続可能な」という意味で、近年よく耳にする「SDGs(Sustainable Development Goals)」=「持続可能な開発目標」でも使用されている言葉です。 「サステナブルファッション」とは、「地球環境や生産から廃棄までの一連のプロセスにかかわる人々の生活に配慮し、これからも継続的に発展できるファッション業界を目指す」取り組みを指します。 伝統的なファッション業界は、大量生産と大量消費が前提のビジネスモデルが主流で、環境への負荷や生産国での過酷な労働環境など、さまざまな社会問題が指摘されてきました。 そこで、持続可能な社会の実現のために、ファッション業界にかかわる企業・生活者の行動を変革することが求められているのです。 ■ファッション業界が抱える問題 従来のファッション業界は、環境負荷をはじめ、社会的にさまざまな問題を抱えてきました。 ここではファッション業界の生産から廃棄までのプロセスについて解説するとともに、それぞれの段階でどのような課題がみられるかを紹介します。 ファッション業界における生産から廃棄までのプロセスは、大きく5段階に分けられます。 材料の生産 企画・製造 販売 利用 廃棄 – 材料の生産 材料の生産における課題は、特に綿花農家の健康被害などの人権問題に表れています。綿花の産地は多くが発展途上国であり、防護服のない貧しい環境で、危険な農薬の使用を余儀なくされているケースもあります。 国連大学ウェブマガジンによれば、綿花の農薬を原因とした死者数だけでも毎年2万人、入院者数は100万人にのぼるとの推計があります。また、被害者の多くは子どもです。 加えて、綿花の生産には非常に大量の水を消費します。綿花栽培により、環境にも人にも大きな負担がかかるのです。 – 企画・製造 服の製造は、企画から始まります。企画では新商品のデザインや素材を決めたり、生産計画を立てたりします。 この段階では大量のサンプルが作られるため、素材の大量消費による環境への負荷が問題視されています。例えば、化学繊維であれば石油を消費したり、綿であれば栽培や加工に大量の水を消費します。また、農薬による土壌汚染や水質汚染の可能性もあります。 次に、製造の段階でも、生産過程で余った生地の大量廃棄が指摘されています。環境省によれば、日本での一年あたりの端材等排出量は約45,000トンにもなり、服にして約1.8億着分にもなるとのこと。...
サステナブルファッションとは?~個人にもできる取り組みを紹介~
近年注目を集める「サステナブルファッション」。 SDGsを皮切りに地球全体で持続可能な社会づくりの機運が高まるなかで、サステナブルファッションの促進に取り組む企業やブランドもますます多くなってきています。 「サステナブルファッションの意味は?」「どんな問題が起こっているの?」 そんな関心をもつ生活者の皆さまに向けて、本記事ではサステナブルファッションの意味や、注目を集める背景、日本企業における取り組みの事例などを紹介していきます! ■サステナブルファッションってなに? 「サステナブル」とは、英語で「持続可能な」という意味で、近年よく耳にする「SDGs(Sustainable Development Goals)」=「持続可能な開発目標」でも使用されている言葉です。 「サステナブルファッション」とは、「地球環境や生産から廃棄までの一連のプロセスにかかわる人々の生活に配慮し、これからも継続的に発展できるファッション業界を目指す」取り組みを指します。 伝統的なファッション業界は、大量生産と大量消費が前提のビジネスモデルが主流で、環境への負荷や生産国での過酷な労働環境など、さまざまな社会問題が指摘されてきました。 そこで、持続可能な社会の実現のために、ファッション業界にかかわる企業・生活者の行動を変革することが求められているのです。 ■ファッション業界が抱える問題 従来のファッション業界は、環境負荷をはじめ、社会的にさまざまな問題を抱えてきました。 ここではファッション業界の生産から廃棄までのプロセスについて解説するとともに、それぞれの段階でどのような課題がみられるかを紹介します。 ファッション業界における生産から廃棄までのプロセスは、大きく5段階に分けられます。 材料の生産 企画・製造 販売 利用 廃棄 – 材料の生産 材料の生産における課題は、特に綿花農家の健康被害などの人権問題に表れています。綿花の産地は多くが発展途上国であり、防護服のない貧しい環境で、危険な農薬の使用を余儀なくされているケースもあります。 国連大学ウェブマガジンによれば、綿花の農薬を原因とした死者数だけでも毎年2万人、入院者数は100万人にのぼるとの推計があります。また、被害者の多くは子どもです。 加えて、綿花の生産には非常に大量の水を消費します。綿花栽培により、環境にも人にも大きな負担がかかるのです。 – 企画・製造 服の製造は、企画から始まります。企画では新商品のデザインや素材を決めたり、生産計画を立てたりします。 この段階では大量のサンプルが作られるため、素材の大量消費による環境への負荷が問題視されています。例えば、化学繊維であれば石油を消費したり、綿であれば栽培や加工に大量の水を消費します。また、農薬による土壌汚染や水質汚染の可能性もあります。 次に、製造の段階でも、生産過程で余った生地の大量廃棄が指摘されています。環境省によれば、日本での一年あたりの端材等排出量は約45,000トンにもなり、服にして約1.8億着分にもなるとのこと。...